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麻雀コラム「麻雀店経営サポート」 麻雀店に対する風営法上の 規制や麻雀店での大会開催に ついての注意点等を 問題になるケースを紹介して わかりやすく解説! 行政書士・社労士:荒木康宏
今月は、麻雀店に対する規制や麻雀店での大会の開催について、しばしば問題になるケースを挙げて解説していきたいと思います。
■最近の支援金等の動向
最近では物価高に対する支援金も少なくなってきました。全国的なものは皆無で、各自治体が予算の範囲内で支給するものばかりです。
千葉市だとまだ詳細は出ていませんが、エネルギー対策支援金の第2弾がホームページ上でアナウンスされています。ちなみに、金額は5万円です。他の自治体でもあるかもしれないので、皆さんも事業所の属する自治体のホームページを確認してください。額は少ないですが、貰えないと悔しい額なので。
■麻雀店に対する規制
風営法は解釈論になってしまうことが多々ありますし、担当者や管轄ルールに依ることも多くあります。ですから、「他の店舗がそれで運営しているからうちも」という発想は危険です。たとえば他の店舗の構造をそのまま真似ようとしても、申請の段階で注意されることもあります。
【個室】
最近の麻雀店では、個室をアピールするものが増えました。「落ち着いて打てる、周りに邪魔されずに打てる」と人気があります。ですがもちろん個室を作るにしても、自由に作ることはできません。
簡単な囲いを四方に作ってその中で打つのはできません。風営法上の「概ね高さ1メートル以上の見通しを妨げる工作物」に該当するからです。しっかりとした個室を作る必要があります。天井まで壁のある個室です。
注意点としては、
◎鍵の掛からない扉にすること
◎窓を付け外から中を見られる構造にすること
両者とも中でいかがわしいことをさせないようにするためです。鍵は、風営法上の二重扉の禁止に該当してしまうことになります。スライドドアに窓を付けているお店もあります。わざわざ窓を別に作らずに。
また、管轄に寄っては風営法の管理者が常駐していることを要求することがあると聞きました。巡回をして、個室内部で違法行為をしていないかを確認させるためだと思われます。
開業当初から個室を設ける場合には、事前に警察に相談をし、事後的に個室を設ける場合には、事前相談と構造変更の承認申請が必要になり、工事完了後に警察の構造検査があります。
【高さ1メートルに対する解釈】
風営法の申請をしていてよく警察から指摘を受けるのが、「概ね1メートルを越える障害物」の解釈です。
「店も見渡しを妨げるものがあるといかがわしいことをする」という理由で概ね1メートルを超える障害物はおけません。これに対する解釈は管轄や担当者により異なります。
たまたま椅子の高さが105㎝あったとき、ある管轄では特に何も言われなかったのに対し、別の管轄では5㎝切らないと許可証を出さないと言われ、5㎝切り、木片と引き換えに許可証を貰ったことがあります。
「概ね」の概念を無視して1メートルきっかりとする管轄と「概ね」を5センチ位と解釈する管轄とさまざまです。
仮に、雀卓を無くし、畳の上でやる畳麻雀店を作りたいとします。畳の上に胡座をかけば、背の高くない人なら座高1メートル以内となることもあるでしょう。となると、概ね1メートルの敷居があった場合、その人は隠れてしまうことになります。1メートルの敷居は法律上問題ないが、実態としては問題となることになります。この場合、警察から指導が入ることも想定されます。現実的な話ではないですが。
警察は1メートルルールに関しては結構うるさい人も多いので、この際1メートルを超えてはならないと条文よりも厳しい条件で覚えておくのもありかもしれません。その方が今後のためです。警察と争っても「許可出さないよ」と言われたらお終いですので。
【ソファ】
ベッドにもなるようなロングソファは休憩用とはいえ、置かないのが無難かもしれません。あくまで麻雀をしに来ているわけで、寝に来ているわけではありませんし、警察はいかがわしいことをするのではないかと疑いをかけてきます。
これもソファの形にもよりますが、背もたれの高いソファだと、前述の1メートルルールの関係で撤去を命じられることもあります。これくらい1メートルルールは風営法上さまざまな場面で顔を出して来ます。
【掲示物】
通常の掲示物は問題ありません。メニューや料金表などは。問題になるのは、宣伝用のセクシーなチラシやポスターです。最近ではコスプレや色っぽい格好をする女性雀士も多くいます。よく彼女たちをモデルにして告知や宣伝をしている掲示物がありますが、基本的に警察は、セクシーな掲示物を嫌う傾向にあります。麻雀店は、あくまで麻雀をやる場所でセクシーな掲示物を見に来る場所ではないからです。全裸の掲示物は違法行為として取り締まりの対象になりますが、セクシーなギリギリな掲示物であっても、管轄と担当判断になる傾向にあります。
今回も警視庁にその線引きを聞いたところ、「個別具体的に現場で判断する」との回答だったので、その通りなのでしょう。ただ、安全策としては、控えるに越したことはありません。具体的に基準が明文化されていないのであれば。
もちろん、射幸心やギャンブル性を助長する掲示物は当然違法なので、掲示することはできません。
警察の解釈では麻雀店は麻雀というゲームを楽しむ場所であり、賭場ではないし、性的な刺激を求める場所ではないので、上記のような掲示物は問題となってしまいます。
■麻雀大会の開催
麻雀店で麻雀大会が開催されることがあります。ごくごく普通のことですが、しばしば問題になり注意を受けたり、摘発の対象になったりすることがあります。なぜこのようなことが起こるのか? それを防ぐためにはどうすればよいか? これらについてみていきます。読者の中には、麻雀大会を開催したい方、したことがある方がおられると思います。そこで、もう一度大会開催の注意点を頭に入れ、安全な大会を運営して頂きたく思います。
【賞金・賞品の出る大会開催の3つの壁】
麻雀大会を合法的に開催するには、3つの壁をクリアしなければなりません。1つでも抵触すると警察が黙っていません。その3つの壁は以下のとおりです。
①刑法上の賭博罪の壁
②風営法の壁
③景品表示法の壁
3番目の景品表示法はほとんど馴染のない法律ですが、上から2つはイメージが湧きやすいと思います。
①賭博罪
「偶然の勝負に関し,博戯または賭け事によって財物の得喪を決める行為」を刑法上賭博罪として罰しています。50万円以下の罰金か科料が科されます。常習性が認められると、3年以下の懲役が科されます。麻雀は偶然の勝負に該当しない、との解釈論を展開したところで負けます。偶然の勝負でないことを立証するのは不可能に等しいです。
この条文のポイントは、「賭け事によって財物の得喪を決める」という点です。これは、他の公営ギャンブルを引用すると分かりやすいかもしれません。
競馬は、自分のお金を賭けて、そのお金が馬の調子だったりという偶然の勝負で倍になって返ってきたり、すべて失ったりします。
これを麻雀に置き換えると、自分のお金を賭けて、偶然の勝負で増えたり減ったりすることとなります。
麻雀は、自分のお金を出して、そのお金が倍になって返ってくるかもしれない争いをするから違法行為となるのです。これを回避するには、以下の方法を採らなければなりません。
◎自ら出した金銭が、賞金の一部となって返ってこないようにする。大会参加者の参加費が賞金に充当されないようにする。
◎スポンサーが賞金をすべて出し、参加者から参加費を一切取らないようにする。
このように、賞金や賞品をスポンサー持ちにすることで賭博要素を排除することが出来ます。スポンサーという第三者を絡ませるのがポイントです。
麻雀店主催ではなくスポンサーが主催していることが多いのはこのためです。違法行為を回避するためです。
②風営法
風営法では、雀荘は、遊技の結果に応じて賞品は提供してはならないと規定されています。あくまで麻雀はゲームです。遊びです。なので、遊んだ結果として賞品を提供してはならないという建前です。遊んで満足しろということだと思います。
ここでまた、解釈論の登場です。「麻雀店が」賞品の提供をしたら違法行為となるのです。であれば、麻雀店以外が賞品の提供をすればよいのです。そこで登場するのが、またまたスポンサーです。スポンサーが賞品を提供することでこれを回避することが出来ます。麻雀店、客以外の第三者を絡ませるのがポイントです。
ただし、いくらスポンサーがいるからといって、「毎週金曜日は大会ナイト」と反復継続的に開催していると、射幸心やギャンブル性を助長する常習的な行為と判断され問題になる可能性もありますので、適度な開催頻度で行う必要があると思います。
③景品表示法
正直耳慣れない法律ですし、この法律に明るい人を見たこともありません。時々テレビで抽選の不正行為があり取り上げられる位の法律です。ただ、大会で賞品を出す以上この法律も避けては通れません。
法律上、応募に関しては、
◎誰でも参加できるタイプ
◎参加条件のあるタイプ
の2つのタイプがあります。ザックリとした話をすると、前者では賞金額を1000万円以上にすることができ、後者だと細かい金額制限があります。このことを加味すると、誰でも参加できる方式で参加者を募るのが賞金を大きく設定することが可能です。後者だとうっかり金額による規制を受けることになりかねないので。
■安心・安全な
大会開催のために
上記のとおり、基本的な考え方は、スポンサーありきです。ただし、いくらスポンサーありきでもそれが脱法行為となってしまっては元も子もありません。脱法行為とならないためにも、適度な頻度で不定期開催をするのがポイントだと思います。逮捕された記事を読んでいると、店が主催しているケースが多かったです。
どちらかというと、風営法と賭博罪で逮捕されているケースが多く、景品表示法はほとんど見当たりませんでした。今後大会の開催を考えている麻雀荘様は、スポンサーを募るのが安全な方法だといえます。
開催告知の掲示物を店内に張る場合も、前述のとおり過度に色気のあるものは、風営法に触れる可能性があるので注意してください。
■その他注意点
大会を開催するにあたり、店の構造を大幅に変える場合には「構造変更許可」が必要になります。たとえば、トイレを壊して客席を広げる、照明設備をすべて交換する等、比較的大きな工事を伴う構造変更をする際には、許可が必要になります。これに対し、照明を少し変えるような軽微な変更は、届け出で十分です。
この軽微な変更と大きな変更は管轄の担当に聞いた方が確実です。自分では比較的軽微な変更と思っていても、重度な変更であることもあります。また、軽微な変更は、届け出なので申請書を出せば終わりです。
これに対し変更許可の場合には、事前相談・工事・許可申請・現場確認・許可の順に進むので時間もかかります。この許可を得ないで構造変更をして営業をしていたら、無許可営業になってしまうので注意が必要です。
文:荒木康宏
荒木行政書士・社労士事務所
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