1990年(平成2年)2月10日 第175号
麻雀業とコンピューター
現代の社会はコンピューターを切り離しては語ることができません。コンピューターは生活のあらゆる面で活用されています。マージャン店内でも、マイコン制御の空調機器をはじめとした電気製品や自動麻雀卓にも使われています。マージャン業界が低迷を続けている現在、外部に向けてのPR活動や組織内部の活性化と同時に、経営や競技会システムにコンピューターを導入し、多様化するファンのニーズに応えることも必要です。これからの上昇気運を掴むためにも、コンピューターを積極的に活用し、時代の流れに合った姿を追求すべきでしょう。
ファン獲得の新武器
無隈に広がる利用価値
現在コンピューターを導入して顧客サービスや経営管理をしている店はそう多くないと思われます。
コンピューターが持つ機能とマージャン店経営の結び付きを考えることは、コンピューターを導入する可能性がないにしても、無駄なことではないでしょう。
昨年の2月に本紙の「わたしの店人と経営」に紹介しました「ミスチョイス」は、顧客サービスにコンピューターを導入していました。フリーマージャン店の特長を生かすために、会員(客)の成績を一括管理しています。
入会金300円でカードを作ります。氏名、性別、年齢、住所、電話番号、職業、大学名などが登録されます。そして、1ゲームごとにその対戦成績がコンピューターにインプットされ、そのデータを蓄積します。
ゲームに勝ち負けだけでないおもしろさや刺激を与えることができます。さらに、半荘1回ごとが自分の累計につながりますから、いい加減な気持ちで打てませんし、また少しでもプラスにという気待ちが持てます。
1ヶ月の集計結果から、勝率、平均得点、防御率(ラスを取る回数の少ないこと)、最多勝などいろいろな表彰がデータを基に可能になりますから、それだけで会員の盛り上がりは違ってきます。
マージャンを4、5回打って、いくら勝ったとか負けただけでは、負けた人には満足感が残りません。一生懸命に打った4回戦の敗因を自覚するにしても、勝ち負けの要素が強くては薄いものになってしまいます。コンピューターで管理すれば、その4回戦の持つ意味は長期戦のなかで重要なものに変わります。それによって、その会員は顧客となり、定期的に来店するファンになります。そしてこのシステムは、一般のマージャン店でも応用することができます。
客がどんなルールであっても1回戦ごとのスコアシートを店で預かり、来店客の全成績をインプットし、ーカ月間のトータル成積を発表することで客の関心を呼び起こします。それを、規定荘数などを設定して半年ことに表彰するといった企画によって、来店回数が増える可能性も生まれてきます。
客を呼ぶ手段としてコンピューターの機能を活用するわけです。
さらに、大会の集計にコンピューターを使用すれば、会場が全国各地でも、各会場のスコアシートをファックスで本部に送付し、それを集計した結果を各会場に戻すことで何千人が参加する大会の開催も可能になります。
そのようなイベントには、マスコミも関心を起こすはずです。また、有段者を対象にした競技会を定期的に開催して昇段の機会を与えたり、企業対抗戦といったイベントにも、コンピューターの威力は発揮されます。業界活性化の一助に、コンピューターの機能は必ず役立つはずです。
成績集計と経営管理
㈱コンプス取締役社長 嶋倉 昭男
集計システム
開発の動機
私は一マージャンファンとして東雀協や麻雀新聞社が主催する大会に参加する機会に恵まれてきました。
その都度、役員さんたちにお世話になり、何か手助けが出来ないものかと考えておりました。多人数の大会で成績の集計を素早くできれば役員さんの負担を軽くできるのではないかと考えたのがこの成績集計システムを開発する動機でした。
・ゲーム終了後30分以内に成績発表が出来る。
・全員の成績が一覧できる。
・得点データ入力が簡便。
を主目的に開発し、オール東京麻雀大会、東日本段審選手権に試用したのが4年前のことでした。その後、改良を加えて1000人規模の大会にも耐えるシステムとなっております。
今後の発展性
・4回戦以上の対応
現在は4回戦迄ですが、これを何回戦でも出来るようにします。
・得点データ入力の自動化
現在はスコアシートから選手番号、得点を拾い出して、キーボードを使って入力をしておりますが、近い将来には専用のスコアシート読み取り機によりスコアシートを直接入力出来るようにします。
・大会開催案内通知の発行
現在は選手名のみを入力していますが、申し込み書の記載内容(住所、電話番号等)を全て入力することにより翌年度の大会には大会開催案内を発行できるようにします。
・過去の個人成績参照
現在は過去の個人成績は表によってしか参照できませんが、いつでも画面により参照できるようにします。
コンピューターで顧客の管理
マージャン業界にとってマージャン人口の減少は切実な問題となっています。TV放映、各種のイベントの開催などの努力をはらわれておりますが、なかなか営業成績に結び付かないと聞いています。
私のもう一つの趣味は魚釣りですが、船宿からは年賀状や暑中見舞い、季節の釣り物案内などのDMが数多く送られてきます。
業界全体としての努力も大切ですが、個々の店が積極的に集客に努める必要があるのではないでしょうか。
来店されたお客様をコンピューターに登録しておき、店が独自に行なうイベントの案内や、足が遠のいているお客様を抜き出して電話、葉書きによる勧誘。来店回数が多いお客様を抜き出して記念品を贈る。成績が優秀なお客様の表彰などができ、お客様とより深く関係することにより、よく強く印象づけられます。
コンピューターで売上げ計算
マージャン店の売り上げは貸し卓料金と飲食料金に大別できます。
貸し卓料金についてはゲームの始まり、終わりに卓番号を指定することで自動的にゲーム料金の計算が出来ます。
また、飲食料金については注文の都度、卓番号と品名コード、数を指定することでゲームの終わりと同時に計算書を発行することが出来ます。
そのほか、日毎の合計(売り上げ日計表)月毎の合計(売り上げ月計表)を印刷することができます。日毎の売り上げ状況を正確に把握できることから、お客様の来店するローテーションが分かるため、何日頃、あるいは何曜日にお客を呼ぶべきかがはっきりします。
このような形で、今後も業界をサポートして行きたいと考えております。