ふうえい裏話 vol.99
by 行政書士・谷田部 智敬
ひとくちにふうえい(風俗営業)といっても、そこには「光」も「闇」もある。
行政書士が見たそんな世界の裏話……。
新しく麻雀店の開業をしようとするときは、
ご存知のように所轄警察署を経由して
都道府県公安委員会へ風俗営業の許可申請をしなくてはなりません。
許可の申請をすると、申請したお店に対する警察の実地検査があります。
検査内容は、提出された申請図面のような麻雀卓の配置になっているか?
衝立などによって店内の見通しが悪くないか?
照明は暗くないか?
などの構造設備に対する検査が行われます。
最近ある県での検査時のことです。
そのお店は、1階路面店で健康マージャンを行おうとしているお店でした。
道路側は全面ガラス窓になっていて明るく、
いかにも「健康マージャン」にふさわしいお店でした。
そのガラス面には、健康マージャンの店名などをカッティングシートで貼る予定になっていましたが、
警察の検査時にはまだ貼られていない状態でした。
検査日当日、生活安全課から4人の担当者がやって来るなり
「こちらの窓はこの状態で営業するんですか?」と。
工事の遅れで、2~3日中に店名など記載のシートが貼られる旨をお話しすると、
「それではシートが貼られてから検査に来ます」とのこと。
理由は
- 営業できる状態になっていない
- 店内の照度が正しく測れない
- 外部から店内が見えてはいけない
との理由からでした。
せっかく検査に来られたので、
配置や寸法、照明器具の配置など他の部分を検査してもらい、結果はすべてOK。
しかし譲れないのが照度の測定だという。
風俗営業の許可では、麻雀店などの遊技関係では、店内の照度(明るさ)は
10ルクス以下は不可となっています。
この明るさは、新聞が読める程度のかなり暗い状態です。
蛍光灯を設置して明るくしている麻雀店では、まずありえない明るさです。
試しに店内の照度を測ってもらうと、240ルクス。
基準の24倍もの明るさです。
窓ガラスにシートが貼られたとしても、突然10ルクスを下回る明るさになるはずもなく…
それでも、カッティングシートが貼られてから、
再度照度検査を行うこととなってしまいました。
まあ、警察担当者としては営業する状態での照度を測りたかったのでしょうが…
マニュアル通りの検査は、ちょっと本質から離れていませんかね~。
(次回に続く)
イラスト:辰巳ゆめ