2023年(令和5年)10月27日(金)に発売となった『最強戦の魔物 なぜ瀬戸熊は連覇できたのか』は、麻雀最強戦が現行システムになってから初めての連覇を成し遂げた、日本プロ麻雀連盟・瀬戸熊直樹プロについて迫る本となっている。
本書は、麻雀最強戦において瀬戸熊プロと深く関わった10名に対して、ライターの木村由佳氏が話を聞き、その内容に対して瀬戸熊プロが言葉を返すという形で構成されている。瀬戸熊プロの盟友である多井隆晴プロや黒沢咲プロといったMリーガーだけでなく、麻雀最強戦史上に残る逆転劇でタイトルを獲り損ねた宮内こずえプロ、一瀬由梨プロ、前原雄大プロや伊藤優孝プロ、井出洋介プロといったレジェンドたち、長村大プロ、内田みこプロ、岡崎涼太プロという最強戦で瀬戸熊プロを苦しめた打ち手と、登場する麻雀プロたちは非常に多様なメンバーとなっている。彼らが最強戦にたどり着くまでの歩みから最強戦での戦い、麻雀プロ・瀬戸熊直樹との関係性も非常に面白く、彼らが独自の視点から語る「最強位・瀬戸熊直樹」は、従来からの瀬戸熊ファンにとっても新しい気付きが得られるだろう。また、瀬戸熊プロがライバルたちをどのように評価しているかも、それぞれの人物像をさらに深く掘り下げてくれており、興味深い。
特に、宮内プロや一瀬プロ、前原プロといった、最強戦の決勝で瀬戸熊プロと戦ったメンバーたちの声は、最強戦決勝の背景をさらに色鮮やかに映し出し、対局にさらなる深みを与えてくれるものとなっている。最強戦の対局はYouTubeやDVDなどで振り返れるが、この本を読んだ後であれば、また新しく見えるものもありそうだ。
毎年激闘が繰り広げられる麻雀最強戦は、今年も12月9日(土)・10日(日)の2日間でファイナルが行われる。もしも瀬戸熊プロが3連覇したとなれば、前人未踏であり、まさに偉業。一方で、今年も瀬戸熊プロの前には強力なライバルたちが立ちはだかる。最強戦ファイナルをさらに楽しむためにも、ぜひ大会前に本書をお手にとっていただき、最強戦の面白さに触れてみていただきたい。そして、麻雀最強戦はプロアマ混合であり、アマチュアの方もチャレンジできる大会となっているので、来年は予選に参加してみてはいかがだろうか。瀬戸熊プロ自身もアマチュアの頃から挑戦し続けていたという最強戦の舞台は、麻雀打ちを引きつける魔力に満ちている。それは、この本を読んでいただければ伝わるはずだ。
(文・東川亮)
■『最強戦の魔物 なぜ瀬戸熊は連覇できたのか』
著者:瀬戸熊直樹・木村由佳
出版社:竹書房
発売日:2023年10月27日
定価: 1870円 (本体1700円+税)