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【二足の草鞋を履く雀士】加藤哲郎(元近鉄バファローズ)
- 2017/5/1
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「巨人はロッテよりも弱い」1989年日本シリーズ近鉄バファローズVS読売ジャイアンツで勝利投手になった加藤哲郎氏がお立ち台で放った言葉です。正確にはマスコミが誇張した表現ですが、今では加藤氏の代名詞となってしまいました。今回はその加藤哲郎氏に麻雀との関わり合いについてインタビューしました。
――麻雀との出会いはいつ頃ですか?
高校までは全く麻雀とか知らなくて、プロになってからですね。若手時代、プロの先輩が夕方になるとおもむろに何処かへ消えていくのです。何処へ行くのかと思っていたら、行きつけのパチンコ屋の2階が麻雀荘でそこで麻雀を打っていたのです。麻雀とはどんな遊びかと思い、ついていったのがきっかけですね。始めは後ろから見ていただけだったのですが、実際にやってみたくなり、先輩の麻雀と麻雀漫画を見てルールを覚えました。
――打つよりも見て覚えたというのは珍しいですね。実際に打ち始めたのはいつですか?
プロの同期に麻雀をかじっている奴がいて、その彼ともう2人の同期とで旅行に行ったのです。その時の宿に麻雀セットがあって、それを借りて打ちました。それが初めてですね。役も点数計算も分からず、1人分かっているやつがいたのですが、点数を誤魔化されているんじゃないかと思ったりもしました(笑)
1度打つとそれからはのめり込むように、寮でもひたすら打っていました。はじめは4人打ちからだったのですが、近鉄に所属していた当時は関西だったので、24歳ごろからはずっと三人麻雀をしていました。
――麻雀のどこに惹かれましたか?
ゲーム性ですかね。良く駆け引きとか言いますが、駆け引きがわかりだしたのはまだ後の話で、最初は数字を並べて組み合わせを作るのが楽しいとか、その程度の感覚でした。あと、当時は他に娯楽が少なかったというのも大きくて、少し後になるとテレビゲームが登場するのですが、もしテレビゲームに先に出会っていたらテレビゲームにハマっていたかも知れません(笑)
――麻雀と言えば徹夜というイメージも強いのですが、翌日試合の場合はどうされていましたか?
私はさすがに寝ていましたが、ピッチャーの中には徹夜くらいがちょうど良いと豪語する選手もいました。徹夜で一度完封勝利を挙げて、味を占めていましたね(笑)睡眠不足でギラギラしているくらいがちょうどよかったそうです。
――麻雀と野球の通ずる部分はありましたか?
感覚的に良く似たところがあって、例えば野手のリズムがいつもと違うなと。何か違うという漠然とした感覚ですが、これが大事ですね。麻雀も河や相手の所作に違和感があることもありますし、野球ならば、投げる直前に打者のリズムで狙っている球種を感じて投げる直前にボール球にすることもありました。実際にストライクを投げていないので本当に打たれていたかどうかは分かりませんが。結果は別にして、この『嫌な感覚』を麻雀でも大事にして打っています。そういう第六感の様なものが大事だと思いますね。
――確かに、そういった違和感を覚える事は良くありますね。
違和感を大事にして1個1個大事にしないと後で困る場合が多いです。野球でも1球おろそかにすることによって後悔することがあります。例えば2アウトで迎えた9番打者に投げた不用意な1球でヒットを打たれたとします。一生懸命投げていれば抑えられていたはずなのに、楽をしてしまった。それにより、その後の上位打線に本来投げる必要の無かった20球を投げる事になる。そういったことが往々にしてあるんです。だからこそ1球1球を大事にする必要があるんです。麻雀も同じで1打1打を大事に打つ必要があります。これは仕事にも通じますね。今やれることは今やる。それが大事です。
――麻雀を打つ際にゲンを担ぐことはありますか?
来たものに対してどう対応するかというのが麻雀の面白い部分なのでゲンを担ぐということはないですが、睡眠時間だけはしっかり取るようにしています。体力と集中力が現役の時より落ちているので、集中して打つためにも睡眠。あと、対局の合間に甘い物を摂るようにしています。
――現在の麻雀との関わり合いについて教えてください。
今は大阪市の天満橋会館で麻雀講師を主にしています。その傍らでスリアロチャンネルさんや雀サクッTV麻雀配信に出演させていただいたりと、麻雀が生活の主体となっています。野球の仕事をやりたいという気持ちはあります。ですが、野球人としての旬というのもあり、年々引退する選手は出てくるので、そこは需要と供給のバランスですね。地上波も減ってきている現状があるのでしょうがない部分はあります。
――加藤さんにとって麻雀とは
『ライフワーク』です。成人になってから麻雀をしていない時期がほとんど無いので、生活の一部になっていますね。野球もそうなのですが、麻雀も答えが無いので、答えらしきものを探す為に続けているんだと思います。年を重ねても出来ますし、感覚を磨き精度を上げていく、その感覚を追い求めています。今までは野球で自分をアピールしてきた部分を、麻雀に置き換えて、私が麻雀で楽しんできた経験を踏まえ、私も参加しておりますGPC(グッドプレイヤーズクラブ)など様々な人との交流の中で良い形で普及していけたらと思います。