新式麻雀タクティクス 第1回

皆さん、はじめまして。最高位戦日本プロ麻雀協会所属の原周平と申します。歳は21歳、まだ学生で、競技プロ歴1年になります。駆け出しのC2リーガーですが、今回このような連載の機会をいただきました。精一杯つとめますのでよろしくお願いします。

さて、今回のテーマは、「若い世代の麻雀」です。ゲームやネットで、人やお金が無くても麻雀ができるようになった昨今。麻雀への関わり方も変わってきました。

また一方では、以前では難しかった大量の牌譜の解析が可能となり、データをもとにした戦術の研究も進みました。そんな中、今の学生や若い世代が、どのような環境で、どんな麻雀を打つのか。私の知っている範囲で、簡単にご紹介したいと思います。

まず、環境です。麻雀をゲームやネットで覚えて、仲間を見つけてセットをするというのが今の王道だと思います。誰かから手ほどきを受けるより、スマートフォンのアプリやネットの無料ゲームの方が手軽です。

学生なら麻雀サークルに所属するという選択肢もあります。ノーレートの真剣勝負、「賭けない・飲まない・吸わない」など、知的でクリーンな麻雀を掲げる競技麻雀サークルは、今、学生の間で広まっています。

学生でもある程度慣れてきた人、あるいは社会人になってくると、今度はフリー雀荘が主戦場になりそうです。アルバイトでフリー雀荘のメンバーをする人もいます。

ネット麻雀の中で強豪が集まるとして知られているオンライン対戦麻雀『天鳳』も、一人で趣味として麻雀を続ける人には良い場です。天鳳のプレーヤーはIDで300万。アクティブにプレイしている人が100万人程度としても、すごい数です。その中で20代以下は60%程というデータも出ています。

もっと緩く、楽しんでやりたいという人は職場のセットや、今ではノーレートフリーもあります。反対に、厳しく、しっかりやってみたいと思えば、競技プロの道があります。

私はほぼすべての場を、経験したり、知り合いを通して話を聞いたりしてきましたが、結論としては、今は色々な選択肢があるということです。

たとえばネット麻雀しか打たない人もいれば、メンバーとして働きながら競技プロをしている人もいて、選んだ環境によって麻雀への関わり方はかなり違います。

そんな中でも特筆すべきはやはりネット麻雀の普及で、配牌の取り出し方を知らないのに、麻雀は強い高段者というのが、実際にいるのが現代です。

その影響が麻雀観に少なからず表れているのではないでしょうか。
では今、若い世代がどんな麻雀を打つのか。戦術について述べるより、ここでは麻雀観が大きく変わってきたということを説明したいと思います。注目するのは以下の3点、①麻雀に責任はない、見た目を飾るより勝つための最善を選ぶ。②麻雀に流れはない。③麻雀は長期の成績を競うゲーム。

ネット麻雀の普及は、「麻雀は1人で打つもの」という意識を高めました。画面の向こう側の他人が相手だと、極端に言ってどんな打牌も気楽に打てます。クリック一つです。

以前はダブ東やドラを安易に切って鳴かせたり、仕掛けの上家で甘い牌を切ったりすれば、4人のゲームを壊してしまうという意識が強かったと思います。

しかし、今はリアルであっても、他人に迷惑をかけるからという理由で自分の都合を通さない打ち方は減っています。これはモラルの低下というより、ゲームの捉え方が変わったからというのが妥当ではないでしょうか。

今は責任よりも、個人が勝つための最善手を選んだ結果であればそれでいいという考え方が主流なのです。

そして打ち方は人それぞれ。第1打にスピード優先でドラを切っても、片アガリや後付けで仕掛けても、得になるならするべきということで、今は戦術の一部として市民権を得ています。
赤牌有りのルールが一般化したことも大きな影響です。前に出る手が多いため、牌を絞っていても誰かが切るだろうし、自分も切りたい手になることが多いのです。手作りをしなくても高い手が仕上がりやすくなったため、速くまっすぐ手を進めるという意識も高まっています。

②は、今や言い尽くされた感もありますが、「流れはない、あるいはあったとしても正確に把握する術がないのだからプレーヤーにできることはない」という考え方です。

長期の成績と大量の牌譜を管理できるようになった今、麻雀はマクロな視点で捉え直されています。運に左右されるゲームだからこそ、短期の成績で判断するのは早計で、目先の結果にこだわってころころ選択を変えるのではなく、同じ選択をし続けて長いスパンで勝つということが重視されるようになりました。

ただ、実際には麻雀で勝負するとなったら、どうしても短期になる場合が多いでしょう。娯楽として楽しめなくては続かないという面もあるので、目先の結果に一喜一憂するのは人間として当然の心理といえます。本質はネット麻雀のように何千半荘の積み重ねの先に結果が出るという感覚が正しいのかもしれませんが、そう簡単に浸透しないのも頷けるところです。

最後に牌姿Ⓐを見てください。ここに上家から7索が出ます。「こんな7鳴いてさらに7のカンチャンなんて…」と思ったりしませんか。しかし結果を求めるならチーも充分にあると思います。

出てから考えるのではなく、この牌姿になった瞬間に7はチーだなと思うのが現代的だと考えます。

ピンズの2・3・3の両面を壊して厚かましいカンチャン待ちですが、もう中盤なので、愚形プラス良形のイーシャンテンより愚形テンパイの方がアガリやすく、7は他家の死角に入るのでそれほど悪い待ちではないでしょう。

見た目を気にしないなら結構チーなのです。

どうでしょう。意地汚いでしょうか。しかし勝つためにできることを何でもやろうとするのも、潔くて格好良いと、私は思います。

次回は、もう少しこういった現代風の戦術について、詳しく紹介したいと思います。

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