【追憶の麻雀】第92回「激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【7】」

追憶の麻雀

麻雀新聞第278号 1998年(平成10年)9月10日

激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【7】

儲けたければ調べる

そして考え、発想する

 

《金がないより使い道がない》

 

今回の参議院選挙における与野党の政策は、いずれも国民の声を反映したものではなかった。国民が“なぜお金を使わないか”を理解していない。今まで投資してきた「土地と株」の価格がしばらく上がりそうもなく、お金の運用先がわからなくなっているからだ。日本の経済はデフレーション(物価が下がる)下にあるので、必然的に持っているお金の価値が上がることになり、金利を生むのと同じだと賢い国民は気付いているのだ。

例えば、発展途上国、とくに勤勉な中国の場合は「次に買うもの」が見えている。洗濯機とテレビの次はエアコンや電子レンジと夢がある。遠い将来より今の生活向上のために働く。これに対して、ほしい物があまりなくなった日本では失業や老後の不安解消のために、蓄えるようになった。何に投資したら財産を少しでも増やせるかという指標を政府が示してくれるのを待っているのだ。今必要なのは国家的な産業という新製品である。

 

《ただで手に入る情報を活用》

 

しかし、現在の厳しい状況下において、政治と行政に店の将来を託す猶予はない。自分で切り開いていくのだ。店の活性化のためには、同じ業界はもちろん、他の業界からも情報を入手する必要がある。どんな店がもうかっているか、地域差はどうか、消費者の心をとらえるにはどうしたらよいのか、その疑問に答える情報は国会図書館にある。そこには、あらゆる業界紙がすべてそろっている。

他の業界、とくに衣料の製造と販売の業界紙は参考になる。幾多の大波を越え、揉まれてきた激戦業界の変革の事例は、温室育ちの業界にとって大いに参考になる。

多くの分野の業界紙を見て視野が広がったら、今度は自分の業界紙(麻雀新聞)を1年分、見直してみる。きっと見過ごしていた提案やアドバイスがあるはずだ。自分の置かれた環境や顧客に照らして商圏(商売の対象範囲)をより大きく考え、その提案に肉付けしたり逆転の発想をしてみる。このマーケティング(市場調査)をするときに、ぜひ利用すべきなのが“役所の商工課の相談室”だ。地域の消費動向について分かりやすく説明してくれる。このように、ただで入手できる情報はごろごろ転がっている。気付かないだけだ。

 

《客の分析をしサービス検討》

 

情報が手に入ったら、次に顧客の分析をし、対策を練る。客単価を上げるためにどの部分を削り、どんなサーヒスを増やすかを検討する。業界紙から得られた「今、どんな店がはやっているのか」の情報によって様々なサービスを考える。例えば、街では決して安くないマツモトキヨシがはやっている。なぜか?まず敵を知ることだ。見ることだ。すべての世代の消費動向を頭に入れて考えないと、良いアイデアも長続きしない。「自分の顧客層とは違う」と考えていると、若者や女性の消費動向を把握できない。しいては中年客への話題提供もできない。新しい消費はある年代層に始まり、徐々に上下の世代に広がっていくものなのである。これからのマージャン店は顧客にとって情報収集の場である必要があるのだ。

 

《カラの頭にアイデア浮かぶ》

 

いろいろな情報が得られたら、次は頭をカラにして脳に休息を与える。よく寝ることもひとつの方法だ。いつも6時間睡眠なら2~3日の間、10時間くらい寝てみる。長時間の睡眠に慣れていない脳は、眠っている間も働き続けて、突拍子もないプランを提供してくれるだろう。ひとりでできることなら山登りでも温泉でも畑仕事でもよい。ゴルフやスポーツなど他人とかかわることはあまりお勧めできない。それでもアイデアが出ないのは、単なる勉強不足だ。

 

《理容店の試みを例にとると》

 

以前書いた理容店では、今、高齢者にヘアスタイルの変更を勧めている。「おしゃれ心は年代に関係ないことが分かりましたよ」と店主は客の言いなりだった過去のカットを反省している。これは、「女性高齢者の寝巻の柄は地味なのより大柄が良い」というアンケート結果を店主にみせたことが、キッカケになった。

「考えて発想する」事例のひとつだ。

(つづく)

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