【追憶の麻雀】第86回「マージャン業は生き残れるか?【1】」

追憶の麻雀

麻雀新聞第272号 1998(平成10年)3月10日

マージャン業は生き残れるか?【1】 経営コンサルタント 石垣隆造

選挙利用し政治家動かせ 変化の中でケガを少なく

世界から求められている変革

責任回避と愚策だけの指導者

 

ビッグバンとか「外為法改正」といわれても、もっと身近な言葉を使ってくれないと理解しにくい。多くの関連本を読んだり経済学者の意見を聞いて、やっとなんとなく感触を得た。

日本が世界の中で生きるつもりなら、明治維新以上に開国しろということらしい。「情報公開」や「規制緩和」というと他人ごとのように聞こえるが、今回ばかりは私たちの心の中の変革まで求められているようだ。

西欧諸国にはキリストという正義がある。かつてソ連はプラウダ(真理)という言葉を利用して間違いを犯した。日本も、ふらついたものでない確たる価値観を持てとの要求を突き付けられているらしい。日本のような「もたれあいのシステム社会」では、誰か統率者で責任者なのか分からない(日本は理解しにくい)から、制度そのものを変えて欧米の仲間入りをしなさいよ、個人レベルでは上地・株神話を忘れて「規範(真・善・美)」を見直しなさいということらしい。

政府・財界・官僚の対処は「自分の生きている間に大きな変革をして恨みを買うのはイヤだ」の態度が見え見えだ。赤字国債を大量に発行して子孫に解決を先送りし、株価さえ回復させればなんとかなるとの愚策のツケは大きい。

日本は官僚・政治家・財界・公安・暴力団・宗教団体・農協など相互の力関係、さらにそれぞれの組織内部の各種バランスの上に成り立っている。総理大臣は米国の報道担当補佐官以下としかみられておらず、橋龍総理は口を滑らさないという意味では歴代の総理に無い資質を持っている。が、何をしようとしているのか、誰の意見なのかさっぱり分からない。集団的な合意に基づくカのバランスを崩さないで外国(米国)には笑顔を向ける日本独自の民主主義の代表選手といえる。

しかし、具体的な解決策を提示し、結果について責任を果たす態度を示すべきだ。野党は対抗策も出せないとなじる前に、外国からの非難を恥じるべきだ。満州を植民地化したのは陸軍で、一般の日本人にとっては他人事などという態度は、これからは許されるはずがない。

では、私たち零細企業の経営者はどうすべきか?変革は不可避だが、日本の指導システムが急激な変革を求めていないのは分かった。小さな変化の積み重ねの結果としての大きな変化になるのだろうから、小さな変化の中でケガを少なくするしかない。

政府や大企業でさえ日本の将来が分からないのだから、零細企業か全く新しいことを始めたり大きな投資をすることは控えるべきだろう。「キャッシュフローに徹して、入った金しか使わないこと」と私の師は言っている。ただし、必要な設備投資はしないとジリ貧になる。

歴史が教えるように、金詰まりのあとには強烈な金融恐慌が到来する。必要な時に自分の金をすぐ使えるようにしておくことだ。外国に資金移動するほどの金額でなければ、安全な金融機関に移動して、定期預金より普通預金の比率を高めるべきだ。それでも心配なら、貸金庫にキャッシュを入れておけばよい。しかし、長期間のタンス預金を突然表に出すと税務署に疑われる。金の流れを証明できるようにして、ときどき1口座1千万円を超えないようにして普通預金に入れる方が無難だ。

変化の中で貧乏クジを引くのは、常に弱者だ。ケガを少なくするには、「権威」に近付き、相乗りすることだ。幸いにも、このエセ民主主義(選挙票の価値に3倍以上の差がある)でも、業界がまとまって確定票を明確にすれば、選挙の結果に影響を及ぼすことかできる。金や票を提供した政治家に見返りを求めるのは当たり前だ。マージャン業界でも、おこぼれにあずかるために候補者に一筆要求するくらいにならないと、弱者の仲間入りになってしまう。

「国民を安心させれば、金を使うだろう」なんて、甘い、甘い!国民は複雑怪奇な日本の指導システムを信じてはいない。しはらくじっと耐えて、金以外のものに価値を見出たすべきだろう。

(つづく)

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