【追憶の麻雀】第17回「好きな店・嫌いな店」

麻雀新聞第49号 昭和56年5月10日

好きな店・嫌いな店

麻雀を打つ客は、セット客、フリー客と分かれるが、客の心理を握むことは経営の第一歩。しかし客と日常会話はしても、それ程つっこんだつき合いはないはず。さて、お客さんは、どんな気持であなたの店を選んだのだろうか。

セット客とフリー客とでは、いくらかニュアンスが違ってくるけど、別表にあるように、数字こそ違うが、麻雀をたのしむということは同じで、出てくる項目は大体似ていた。

まず一般的な意見としては、

「僕等は4人で来るんで、1人欠けてもダメだから、週に2回ぐらいかな。いつもここですよ。それに打つ卓も同じです。ここは割と広いでしょう(20卓)。それでいて客が入ってますから、にぎやかな感じなんでいいんですよ。同じ会社の人問だけど、勝ち負けは別だから、負けるとおもしろくないね。でもストレスの解消にはなりますね」

「僕はね、まず麻雀をやるについては、仕事上の関係から一切フリーな立場でやりたいんだ。だから、ここを選んだんだが、最初は知らない人でも、目然と知り合いみたいにはなりますよ。それはそれでいいんだが、それ以上の深いつき合いはイヤでね。この店はマスターが気持よくて元気があるから選んだんだ。店に来ても『やあいらっしゃい』だけですから」まず明るい店、活気のあふれていて、従業員、マスター(ママ)が元気な店が人気がありそうだ。学生になると極端で、「店がキレイとかはどうでもいいんです。とにかく騒げるところがいい。それにサラリーマンがいない方がいいし、たまに入ってくると気分悪いね」

また会社内のメンバーであっても、上司のいない方が打ちやすいとのこと。

「気楽に冗談の言える雰囲気があって、ヒラの集まる店で、多少騒々しいところがいいね。仕事上のストレスを牌にぶつけられれば最高だね」

店の雰囲気は同じでも、マスター、ママさんの態度、従業員のサービスなども重要な決め手になっている。

「この店のいいところは、働いている人が一生懸命で、気持がいいんですよ。以前の店とは明るさとか用具とかは変らないけど、ちょっとなれなれしくなって、イヤになってたんだ。ところが経営者が代って、新装開店から来てみたら、気分一新しましてね。ママさんの娘さんかな、若い人がサービスに従事してますけど、教科書の1から10まで基本に忠実な姿勢がみんな気に入ってますよ」

「ここはね。満卓の時の断わり方がよかったんです。それで、ぜひ打ちたいと思って来たら、従業員の応対がすばらしいんです。バカていねいの気取りもなく、愛想も悪くない。てきぱきしてるんでちょっと話を聞いたら、会社組織になっていて、独立採算で責任を持たされてるんだ。それで態度が違うのかね」

ママさんがキレイだとか、女子従業員が若くて、可愛いという意見もある。

いずれにしても、店の人は控え目な方が、良さそうだ。特にフリー客の店では、マスターの人柄があるいは従業員(メンバー)の質が客を呼ぶことになる。そうなれば自然と客層が一定して来て、お客に不安感や不快な気持を抱かせることもない。

「キレイな店というのが1番だね。暗くて陰気な店は、入ロで解るし、内には入らない。マスターも愛想ばかりいいのはダメ。ルールのことなどに対してもき然としている人でないと。フリーの場合は、お客が何処の誰れということを、あまり詮索しないで欲しいね。ただ店も客も不安があるから、そこはマスターの眼力だね。この店の客は、強い人がいるけどマナーはいいし、サラリーマンばかりだから、麻雀を十分にたのしめますね」

客層に対する注文は、セット、フリーに関係なく高い数字を示している。サラリーマンが主体の商売であるから、店の雰囲気もサラリーマンが十分にくつろげるものにしたい。それも感じがよく似た人達を集めるようにして、他の卓を気にしないようにすることも必要だろう。そのためには、例えば高レートで打つ客、酒を飲んで来た客などは断わるだけの勇気を持ちたいものだ。

また特にフリー客の店は、客層も勿論大切だが、多くの人が集まることが、客が飽きない条件となりそうだ。

そのためには、健全ルール、健全レートということになる。

「マナーの良い客が集まってくれることとメンバーが多いことでここへ来てます。メンバーが少ないとやはり飽きてくるんですね。それに、あまり強い人がいないのもいいんですよ」

閉店時間に厳しい店も、結構ファンがついている。セット客の場合、止めるタイミングが難かしいらしく、「もう一回」というケースが多い。ところが店の方から、「そろそろ終りです」と言われれば、勝っていても負けていても気持よく帰れる。「タクシー代がバカにならないですからね。何のために麻雀をやってたのか解らなくなる時もありましたよ。その点ここは、終りがキチッとしてるから。」

「麻雀をやると時間に対して、多少ルーズになるんだね。それに勝ち負けに関係なく、卓から離れ難いもんなんだ。もう半荘と思っても、この店はダメだから、助かってますよ。遅くなると女房もうるさいからね」

麻雀は頭の体操、心のスポーツであるから、身体が疲れたり、不健康になる要因を作ってはならない。お客の健康管理にも充分気をつける必要がある。店に来て、帰る時は、さっぱりした頭になってもらいたいものだ。

トイレがキレイな店、ロッカーのある店、卓ごとに呼び出しベルがついてる店なども出て来た。

また「ここは駐車場が用意されてるのがいいね」という意見。勿論駐車場使用料は取られるそうだが。それと家庭サービスにも、たまに子供のおみやげを出す店もあった。

さて、お客があまり歓迎しないこと、イヤだと思うことは、今までの反対意見となるが、特に経営方針につながるものが多い。店のマスター、従業員が客のことを良く知っていて、本人は親しいつもりなんだが、あれこれ言うことは、割と不満らしい。「麻雀を打つ時は、会社のことはいいんだ、自由な気持にして欲しいね。負けた時に変に愛想をつかれると、逆にムカッとする時もありますね」

とにかく会社を終えれば、自由な感じで時間を過したいらしく、「やるメンバーがいつも同じなだけに、同じ会社の人間がいるところでは、やりたくないんだ。だから、会社の人聞がこない店、こない日を選んで打ってますよ」またフリー客が立つ店では、セット客が、「あの人達が、我がもの顔で店にいるのがイヤでね。ギャラリーは多いし、高い麻雀を打ってるんだ、うまいだろうという雰囲気で、こちらを見下したような態度が不快なんで店を変えたばかりですよ」

従業員の態度も、直接サービスに従事してるだけに気になる。

「マスターのいる時といない時の態度が違うのが腹立つね」

それとお茶のサービスについては、不満が多かった。まだまだ徹底してない店が多いという印象。

「俺はお茶はキライなんだ。違うものが欲しいんだけど、自分から注文するのもイヤだから、お茶を差し換える時に、全く飲んでなければ解りそうなもんだけどね」

「コーヒーはインスタントじゃ水の方がいいよ」

その他では、食事代が高いとの意見も多かった。また料金が高いというのでなく、いくらなのか解らないからというユニークな意見もあった。

今回のお客の意見をまとめるとお客に好まれる店は、

店が広くて(ゆったりして)明るい。マスター(ママ)が明るくて元気がいい。従業員は仕事に一生懸命。客はサラリーマンの集まりで、ある程度にぎやかな感じ。レート・ルールは健全なもの。営業時間が11まで。お茶は席替えで差し換える。食事はメニューが多く、安くて、旨い店。逆に敬遠される店は、店が狭くて、陰気くさい。マスター(ママ)が元気がなくて愛想がない。従業員はただ雇われてるという態度。客層が、サラリーマンだか遊び人だか解らず酒くせが悪い。レート・ルールはインフレでマナーに対してもいい加減。営業時間はルーズで、何とか客をひきずり込もうとしている。お茶も最初だけであとはなかなか出てこない。食事は、中華・日本そば、寿司だがメニューが少なく、安くてもまずい。

常識的な答えであったが、まだまだ常識的な経営が徹底されてないということにもなりそうだ。

好かれる内容
セット客 フリー客
従業員の態度が良い 37 レートが安い 42
店がきれい 25 サラリーマンが多い 38
サラリーマンが多い 24 マスター・ママが良い 28
閉店時間が明確 21 従業員の態度が良い 27
食事がうまい 18 客を待たせない 21
ロッカーがある 14 閉店時間が明確 15
駐車場がある 11 店がきれい 11
嫌われる内容
お茶のサービスが悪い 30 マナーの悪い客が多い 38
閉店時間がルーズ 28 あれこれ言われる 30
うしろから見られる 25 気楽な雰囲気がない 28
酒くせの悪い客がいる 22 無理にやらされる 24
食事代が高い 19 牌が気に入らない 23
料金が不明確 16 お客が少ない 17
雰囲気が暗い 14 マスターが勝ちすぎる 14

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