新式麻雀タクティクス 第6回

あけましておめでとうございます。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。

新年早々一つご報告をさせていただきますと、1月1日・2日の深夜にテレビ東京で放送された『新春スペシャル~大学対抗麻雀駅伝in箱根』に早稲田の学生として出場し、チーム優勝しました! 今年から始まった番組なのですが、8大学のチーム対抗戦で、最後の最後まで3大学に優勝の可能性のある手が入るなど、とても盛り上がり、ご視聴下さった方からもたくさんの反響を頂きました。ありがとうございました!

早稲田の麻雀部は私の麻雀を形作ってくれた場所なので、学生麻雀にスポットが当たるのは嬉しかったですし、これを機に麻雀を始める学生が増えてくれるかもしれません。何より色々な大学と一緒にチーム戦を戦う収録はとても燃えて、これほど楽しい場もなかなかないと感じたので、来年以降も正月の番組として定着し、若い世代から麻雀が盛り上がるきっかけの1つになってくれたら、などと思います。私も学生麻雀部出身の身として、競技の世界でもしっかり活躍する1年にしたいと思います。今年もどうぞよろしくお願い致します!

さて、今回のテーマは、せっかくなのでこの「麻雀駅伝」に因んで、「大会やタイトル戦の戦い方」とさせていただきます。

麻雀店や団体等主催の大会に出る、身内の麻雀大会で勝つ、プロのタイトル戦を観る、そういう特殊な場で麻雀を打ったり、観たりする機会もときにはあると思います。しかし頻繁にはないため戦略を考えるのは手間ですし、練習することもなかなかできないのではないでしょうか。

そこで今回は、この「麻雀駅伝」のルールと発生する可能性のあった状況などを例に挙げながら、どんな戦略が有効なのか簡単にご紹介したいと思います。

まず、この大会のルールをご説明します。8大学参加のチーム戦で、駅伝に見立てて1区~4区を打ちます。1区が終わった段階で上位4大学がA卓、下位4大学がB卓に分かれて2区を打ちます。2区が終わればまたその時点の上位と下位に分かれて…と続き、4区が終わった段階で一番ポイントを持っていれば優勝です。なお、各区毎に普通の麻雀と同じく25000点スタートでウマ・オカをつけ、そのポイントを加算していく方式になります。ウマは10-30なので、オカを含めると順位点は50-10-10-30です。

そして普通の麻雀と異なるところは、まず各区によってルールが違うこと。

1区は赤なし東風戦、2区は赤あり東南戦、3区は赤なし割れ目東風戦、4区は赤なし東南戦です。さらに、すべてのルールに共通してトビ賞20000点があるのですが、この20000点、なんと順位点をつける前に素点で移動が行われます。つまり誰かを5200点で飛ばせば24000点差のトップだって捲れるということです。

では、ここからは戦略です。まず、優勝しか意味がない戦いなので、最低でも4区で優勝の可能性が残るポジションにいなければなりません。すると上位4大学に残ることが絶対条件です。ポイント差は、ウマが10-30でオカもあるので、トップラスで最低でも80は詰められます。さらに例のトビ賞があるので、トバしトップなら100かわります。これは非常に逆転しやすく、リードしている方からすると逃げが利かないルールと言えるでしょう。

たとえば僅差のリードで4区を迎えたとする(早大+80/駒大+70/専大+40/明大+30)と、一見リードしている方が有利に見えて、その実これはほぼ並びです。

なぜかというと、トップと2着で40は最低開くわけですから、現状早稲田と40開いている専修でも4区トップなら優勝が確定します。明治だけはトップでも確定しませんが、早稲田以外を2着にするか早稲田と10000点差をつければいいのでこれもほぼトップを取ればいいといえるでしょう。つまりどの大学にトップを取られてもほぼ優勝されてしまうため、早稲田もトップを取りにいかざるを得ないのです。僅差であれば上でも下でも同じ、これが決勝の面白いところです。

すると、3区まででやるべきことは、4区を上位卓で打てるようにすること。また、もしそれが余裕を持って狙えるのであれば、リードになるくらいの大きな差をつけにいくこと。そして、逆に言えば他大学にそういう大きな差をつけられないようにすることです。そのためには、2区まででできるだけポイントを伸ばすこと、どこかの大学に連勝させないこと、そのためにも上位卓に入ること。とすれば1区はなるべく2着以上を取るというように、やるべきことが決まってきます。そしてここにさらに、各区のルールの特性も加わって、実際の麻雀中の判断が変わってくるわけです。

これは実際にあったのですが、3区(赤なし割れ目東風戦)上位卓開始前、早大+81.6/青大+36.0/駒大+21.8/明大+21.8のような状況で、早稲田はここでトップを取ればかなり4区が楽になります。

それ以外だとトップを取られた大学との一騎打ちが濃厚ですから、ここはできることなら攻めたいところです。しかし当然どの大学も攻めてくること、早稲田にだけはトップを取らせないように打つであろうこと、ルールが割れ目でトビ賞も大きいことなどを考えた結果、無理はせず、他がぶつかり合ってもしトビ寸前の大学が出たら、そこをトバしてのトップを狙うという戦略で戦いました。

よく大会は優勝しなくてはいけないのだからいつもより押せ、などと聞きますが、これも目的とトップ取りというルール特性を鑑みた意見でしょう。麻雀は、ルールと目的によって最適戦術がころころ変わるゲームだと思います。しかしどちらかと言えば慣れないことをやって優勝する人よりも、素直に打ったら優勝という人をよく見るので、大会でも自分のフォームを簡単には崩さない方がいいと思います。ただし条件戦の条件だけはどんなに面倒でもしっかりと把握すべきで、もし本気で優勝を狙うなら、今回のようにルールやシステムを聞いた段階で整理して、予め展開を予想しておくことをお勧めします。

 

 

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