新式麻雀タクティクス 第14回

皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。さて、早速今回のテーマですが、「守備」のお話の一つとして、「点棒状況判断」としてみたいと思います。

以前、「アシスト」で扱ったように、状況を加味したとき、麻雀はがらりと別のゲームに変わります。他家のアガリでも、自分に都合の良いアガリなら自分のアガリも同然。放縦も、ときには親落としの通行料となります。

そして、何度も書いている通り、麻雀は何もせずとも失点していくゲームです。「守備」と言っても、常に守っていては勝ちきれません。「いつ守るのか」がとても大切になってきます。今回は、そういった局面を想定して牌図を用意したので、点棒状況と一緒にご覧ください。

◎「金持ち喧嘩せず」は南場から

牌図A 麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子3麻雀牌 萬子3麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子5麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子5麻雀牌 筒子6麻雀牌 筒子6麻雀牌 筒子7麻雀牌 筒子8麻雀牌 索子4

東二局7巡目ドラ麻雀牌 索子5 37000持ち 子

親からリーチが入っている麻雀牌 筒子2 は現物

牌図Aは、開局に幸先良く跳満を引き、迎えた東二局、親の先行リーチにタンピンで追いついた局面です。自分からドラも赤も見えておらず、出て行くのは両無筋のドラ表示牌。それでも普段はリーチですが、点数に余裕があるなら、どうでしょうか。放縦すれば12000も珍しくない状況。致命傷を避ける考えなら②で周っていくのも悪くなさそうに見えます。

しかし、結論を言うと、これはリーチが良いと思われます。これが南三局なら、「金持ち喧嘩せず」もありです。自分の加点にさほど価値がなく、オリれば連帯が固く、逆に放縦すれば三着以下の争いに巻き込まれるリスクが大きいからです。

しかし、東二局なら、残り局数が多く、着順は最後まで読めません。

瞬間の着順よりも、その局の収支に拘るべき時間帯なのです。守るのはまだ早く、点棒の優位は意識せず、その局毎にベストを尽くしていくのが、東場の戦いの基本であり、それが最も「失点を減らす」選択でもあるわけです。

よく開局に12000くらいをアガって、すぐ守備的な打ち方になってしまう人を見かけますが、もったいないと思います。それまで自分がベストだと思うフォームで打っていたのですから、すぐ変える必要などありません。考えるのは南場になってから。開局の12000は挨拶くらいに思って、金持ちも庶民も関係なく、東場は点棒集めに奔走しましょう。

◎勝負する局面を選ぶ

牌図B 麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子4麻雀牌 筒子5麻雀牌 筒子6麻雀牌 筒子7麻雀牌 索子1麻雀牌 索子1麻雀牌 索子3麻雀牌 索子4麻雀牌 中麻雀牌 中麻雀牌 中

南四局9巡目ドラ麻雀牌 白 トップ目 親

10600差の二着目子からリーチが入っている

牌図Bは、トップ目で迎えたオーラス、10600差の二着目からリーチが入っているところに、こちらも役有りで追いついたという局面です。③は無筋。オリて流局ならトップなので、わざわざデバサイを打ちたくないと「守る」人もいるのではないでしょうか。しかしよくよく考えると、これは押した方がいいのです。

10600差ということは、今怖いのは満貫をツモられるか、直撃されるかです。そして頭に入れておきたいのは、5200は放縦できるということです。

ここで相手の手を考えてみましょう。

欲しいのは満貫ツモです。ということはリーチの他に二翻以上つけてきている可能性が高いと言えます。しかし、ドラが白ということは、タンヤオやピンフがドラと複合できないので、出アガリ満貫以上にするのはやや難しいと言えます。もちろん比較的可能性が低いというだけですが、やはり現実的なのは、リーチドラドラ、リーチタンヤオ赤、リーチ二翻役、リーチ赤、リーチタンヤオといった、5200~2600の手で、ツモ・ツモ裏・直撃裏を狙ってくる手になると思われます。
さて、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここで5200は打てるという条件が生きてきます。つまり相手がツモ・ツモ裏1で逆転の手だったとすれば、これは俄然押した方がいいということになります。ロンされて良し、されなくても良し、自分のアガリで相手の僅かな逆転の目を潰しにいく方が、トップ死守に繋がります。

この、オーラス自分がトップ目親で子が満貫ツモ条件というのは、よく見かけます。10500差以上あれば5200が放縦できて、ツモを許す方が逆転に繋がるので、自分もテンパイなら押しやすいというのは、覚えておくといいかもしれません。このように、南場は点差と相手によって、リスクとリターンが変化します。瞬間の着順に重みがでてきて、最後に順位点によって勝者となるべく、それぞれが状況を判断して動く時間帯となります。

◎「守る必要がない」状況を作る

今回はトップ目であっても押した方がいい選択を二つご紹介しましたが、麻雀はやはり攻めている時間が長ければ長いほどよく、点差はつければつけるほど、リスクから縁遠い地点で打つことができます。麻雀の「守り」とは、それ以外にどうしようもないからするものでもあります。そうならないように、余裕ある点棒状況で勝負所を迎えるのが、実は一番良い「守備」になるのだと思います。東場はひたすら点棒集め、南場に余裕を残せれば、必要以上に守備を意識して手牌が縮こまることもないのではないでしょうか。

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